増田・豪雪地帯の商業地
秋田県の県南部に位置する「増田」。
現在は横手市の一部になっているが、内陸部の豪雪地帯で、鉄道駅から少し離れている場所にある。
そんな場所に近世から近代にかけての古い街並みが残っており、重伝建地区に指定されている。
江戸時代には周辺で栽培された葉タバコや蚕の集積地・加工地として繁栄し、商業地に成長したという。
街の中心部を南北に貫く、本町から中七日町、上町にかけての通りに沿って、かつての繁栄ぶりを物語る町並みが続いている。
その通りには「蔵町通り」と呼ばれ、現在は「くらしっくロード」という愛称が付けられているが、メインの通りから見ると大型の切妻造りの主屋がずらっと並ぶのは目にするが、蔵は見えない。
実はこれこそが増田の町並みの特徴で、豪雪地帯の増田では屋敷の中に蔵を構えているのだ(「内蔵」と呼ばれる)。
通りに沿って奥行50~70軒ほどの短冊状の敷地が割られ、通りに面した主屋の背面に連続する形で鞘付土蔵が繋がっており、その脇に「通り土間」が設けられている。
蔵を風雪から凌ぐための増田商人の知恵であるといえるが、重伝建に指定されるまでその存在はあまり知られなかったらしい。
(2023.02)